当研究室では最長寿齧歯類ハダカデバネズミにおける抗老化・加齢性疾患耐性システムの解明および応用を目指した研究を行っています。ハダカデバネズミに加えて、近縁のダマラランドデバネズミ、また他のいくつかの長寿・がん耐性哺乳類の試料も用いて、種特有あるいは長寿哺乳類共通の機構解析を実施しています。
哺乳類としては異例の、「老化を免れる哺乳類デバ」に関して理解を深めることで、進化医学的観点から「健康長寿」の理解を深められると期待されます。
ハダカデバネズミ(Naked mole-rat, Heterocephalus glaber, デバ)は、 アフリカのエチオピア、ケニア、ソマリアのサバンナの地中で暮らす齧歯類です。 地下の低酸素環境(7-8% O2)と地上の通常酸素環境の両方に適応しています。 マウスと同等の大きさながら異例の長寿(最大寿命40年以上)であり、個体老化の大きな指標のひとつである、加齢に伴う死亡率の増加が見られません(死なないわけではないですが、死亡率が一定です)。また、繁殖能力など、様々な身体機能が、加齢しても低下しにくいことが知られています。これらの特徴から、デバは長寿に加えて抗老化の特徴を持つと考えられています。さらにデバは、自然発生腫瘍がほとんど認められないという発がん耐性を持っています。また、がんのみならず、アルツハイマー病や代謝疾患などの様々な加齢性疾患への抵抗性をもつことが知られています。ハダカデバネズミがもつ抗老化およびがん・アルツハイマー病・代謝疾患などの加齢性疾患の発症を抑制する分子機構を解明することで、将来的にはヒトにおける加齢性疾患予防薬の開発が期待されます。
私たちは、2010年からハダカデバネズミの飼育を開始し、現在、国内の研究機関で唯一かつ世界最大規模の飼育機関として、研究を進めています。当初繁殖に苦労しましたが、様々な検討により繁殖法を確立し、現在は約1900匹を飼育しています。
研究テーマ
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01.
デバの遺伝子レベルの健康長寿制御 -
02.
デバの細胞レベルの健康長寿制御 -
03.
デバの組織レベルの健康長寿制御 -
04.
デバの社会レベルの健康長寿制御 -
05.
デバ個体の遺伝子改変技術の開発
研究材料
当初繁殖に苦労しましたが、様々な検討により繁殖法を確立し、現在は約1900匹以上を飼育しています。
ハダカデバネズミ

和名 ハダカデバネズミ(以下デバ)
英名 Naked mole-rat
学名 Heterocephalus glaber
アフリカのエチオピア、ケニア、ソマリアのサバンナの地中で暮らす齧歯類です。 地下の低酸素環境(7-8% O2)と地上の通常酸素環境の両方に適応しています。 マウスと同等の大きさながら異例の長寿(最大寿命40年以上)であり、個体老化の大きな指標のひとつである、加齢に伴う死亡率の増加が見られません(死なないわけではないですが、死亡率が一定です)。また、繁殖能力など、様々な身体機能が、加齢しても低下しにくいことが知られています。これらの特徴から、デバは長寿に加えて老化耐性の特徴を持つと考えられています。さらにデバは、自然発生腫瘍がほとんど認められないという発がん耐性を持っています。また、がんのみならず、アルツハイマー病や代謝疾患などの加齢性疾患への抵抗性をもつことが知られています。
ダマラランドデバネズミ

和名 ダマラランドデバネズミ
英名 Damaraland mole-rat
学名 Fukomys damarensis
褐色~黒色の短い体毛で覆われ、 頭に白いパッチ模様があることが特徴です。ハダカデパネズミと同様に、目はあまり見えず嗅覚や聴覚に頼って生活し、大きく突き出た前歯を 使った穴掘りによってイモなどの食料を探します。
平均12匹 (最大40匹)で構成される一家族のコロニーをつくって、地下トンネルで暮らしています。ハダカデバネズミと同じく真社会性動物として知られ、 一対のペアのみが繁殖し、 その他の個体(ワーカー) は繁殖をせずに繁殖個体の手伝いをします。 ワーカーの生殖能力はハダカデバネズミの場合ほど抑えられていません。それでもワーカーがコロニー内で繁殖をしないのは近親交配を明確に避ける性質に よるものと考えられていま す。繁殖個体が死んだ場合、コロニーの中で新たに繁殖個体が出現するわけではなく、コロニーは離散します。
ハダカデバネズミのことをもっと知りたい方へ
主な研究費
公的研究費
科研費 基盤研究A (三浦)
JST 創発的研究推進事業 (三浦)
国際先導研究 次世代ART:哺乳類生殖工学の新展開を支えるグローバルネットワークの構築 (三浦・分担)
JST COI-NEXT 共創の場形成支援プログラム (三浦・分担)
挑戦的研究 (開拓) (三浦)
二国間交流事業(三浦)
学術変革A 生殖ライフスパン (河村・分担)
科研費 基盤研究C (河村)
科研費 若手研究 (岡)
財団
武田科学振興財団(三浦)
東レ科学振興会(河村)
内藤記念科学振興財団(岡・三浦)
公益財団法人コーセーコスメトロジー研究財団(岡)
企業との共同研究
株式会社 豊田自動織機
Toyota Konpon Research Institute